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SUS九州発 エコムスハウス&ファクトリー

SUS九州発 エコムスハウス&ファクトリー

SUSが九州に進出

 2002年8月、SUS株式会社は西日本地域への販路開拓と日本国内での製造拠点の分散化を目標として福岡市内に九州出張所を開設し、市場調査・PR・販売活動を行ってきました。
 九州は日本のシリコンバレーと言われるほど半導体産業のメッカとして有名ですが、近年では自動車産業をはじめとして業界を問わず、数多くのメーカーが進出しています。そして、ここ数年低迷していた日本経済を九州地区から盛り返そうと、いま活況を呈しています。
 そんな中、いよいよSUS九州は佐賀県鳥栖市に事業所として製造拠点を構え、アルミフレームを主力製品として九州全土、および四国・中国地区にも幅広く製品を提供する事になりました。

九州のヘソ 鳥栖市

 九州のヘソと言われる鳥栖市には、縦横に高速道路が交差するジャンクションがあり、人の移動、物の移動にかかせない九州の車社会における拠点として最適な場所とも言われています。
 その鳥栖市の北側は『北部丘陵地区』と呼ばれ、地域整備公団の新都市計画によって開発・整備されました。現在『弥生が丘』と呼ばれるこの地に、SUS九州事業所が急ピッチで建設されています。
 眼下には鳥栖市内が一望でき、西側には巨大なアウトレットモール(チェルシージャパン)、東側には弊社の新規進出企業を見下ろす絶好の場所になります。

アルミを使った本格建築

 日本国内・海外と数々の大型建築プロジェクトを手掛け、業界でも注目の建築家・山本理顕氏が、今回SUS九州事業所(エコムスハウス&ファクトリー)の設計を担当しています。
 アルミ建築の一般普及化を目指すSUSが本格的に取り組んだ住宅モデルの第一棟であり、またラチスパネルの可能性と未来を託した大型建築として、自社工場の設計も山本氏に依頼しました。

ラチスパネルという新架構システム

 アルミが他の金属と決定的に違う事は、押出し成型技術による断面形状を自由創作できる点でしょう。アルミの特徴を生かした断面は、そのサイズの緻蜜さから、他の素材では考えられない美しさを表現する事が出来ます。
 今回、九州事業所にて建築中のエコムスハウス&ファクトリーは、そんなアルミ型材の断面形状を『襷(たすき)がけ文様』とし、X字型格子材の連続面を、縦×横(1.2m×1.2m)のパネルモジュールとして構成した『ラチスパネル』で施工されています。
 この『ラチスパネル』は、山本理顕設計工場とSUSが共同開発した新型の架構システムであり、日本古来の『なまこ壁』を思わせるその文様からは想像もつかない高剛性と高強度を実現し、柱なし・ブレースなしの建築構造を可能にしました。
 その上、壁の構成モジュールとして、市松模様に配置された『ラチスパネル』は、外面をガラス貼りとする事で、アルミ特有の無機質な色合いのまま、不思議な優雅さと美しさを兼ね備えた“面”を作り出しています。

エコムスハウス&ファクトリー

 ラチスパネルの実用化に向けた未来建築とも言えるエコムスのモデルハウスが2004年3月に完成、ファクトリーは2004年5月末と急ピッチで建築が進められています。
 モデルハウスは、2階建ての延床面積114.7㎡、SOHO住宅のモデルプランとして『山本理顕モデル』と呼んでいます。2階部分は、階高3.6mとし、高さに自由度を持たせた空間にはロフトを設置。さまざまなシーンを想定し、自由な発想でイメージできるような構成になっています。1.2階を逆転すれば、オフィス、店舗兼住宅も可能です。また、外面には断熱性の高いペアガラスを張る事で、空調負荷を軽減し、住宅としての快適な居住性を確保できる様になります。
 ファクトリーは、これも総アルミ造りの一部二階建て、床面積605.7㎡。天井高6mの吹き抜けのアルミプロファイル工場をメインに、事務所と展示会が二階建て部分を占めています。建物正面となる北側面は、開口部を除いた全面をラチスパネルの市松模様にペアガラスを張り付けた特徴的なスケルトン・ファザードとなります。
 その他の面は、太陽光の影響を配慮し、空調負荷を軽減する為ラチスパネル以外のブランク部分にはアルミハニカム製の断熱パネルがはめ込まれます。建物の正面も背面も、その幻想的な画容はインパクトのある特殊建築として、見る人の目を引き付ける事になるでしょう。
 アルミ建築のラチスパネル工法は、これまでの概念を超えた建造物を作り出そうとしています。新しい物を作り出すために必要とするパワーは想像を絶するものがありますが、SUSは果敢に挑戦しています。

SUSがアルミにこだわる理由

 FA(ファクトリーオートメーション)をベースにしたビジネスを通してSUSが学んだアルミの特性(①緻密な精度②リサイクル性③軽量化④モジュールの展開性)には、アルミを建築の主役に押し上げる充分な要素が備えられていました。今まで脇役だったアルミが注目されだした背景には押出し技術の進歩・接合技術の向上があります。SUSはFAで培った独自の技術と、これらの技術を融合し、建築の分野において全く新しいHA(ホームオートメーション)を提唱しています。
 軽量化とスピードアップ、リサイクル性は現代のキーワードであり、アルミの持つメリットがニーズにマッチしている事は言うまでもありません。そしてこの先、起こりうる時代の変化にも柔軟に対応できる材料であると考えます。
 SUSは今後、アルミを通じてエコムスのブランドを大きく育てるためにも、アルミ建築の普及と気運を盛り上げて行こうと思います。